HPVワクチンの接種啓発と定期接種非対象者への補助を求める

6月の一般質問では、HPVワクチン接種や啓発の状況について質問し、現在定期接種の対象になっていない人に対する助成について提案しました。

がんを予防するワクチン

HPVワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)は、子宮頸がん等の原因とされるHPVウイルスの感染を予防するもので、その効果の高さから定期接種に位置付けられています。対象者は小学6年生から高校1年生にあたる女子で、期間をあけながら2回ないし3回の接種を無料で受けることができます。

子宮頚がんとは

子宮頸がんは年間約1万1千人が罹患し、約3,000人が亡くなっています。20代30代の子育て期にあたる女性も多く命を落としていることから「マザーキラー」とも呼ばれています。私は自分自身が検診で異形成(子宮頚がんになるかも知れないしならないかも知れない細胞の変化)を診断された経験から、HPVワクチンの接種啓発に関心を持ちました。

HPVワクチンのこれまでの経緯

HPVワクチン積極的勧奨の差し控えと再開の経緯を示すタイムライン図。平成25年4月1日、小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期接種を開始。その後、副反応に関するセンセーショナルな報道が相次ぎ不安が広がり接種率が大きく低下。平成25年6月14日、副反応報告の増加を受け国が積極的勧奨を一時差し控え。この差し控え期間は約9年間(平成25年6月14日〜令和3年11月12日)続き、その間専門家による調査・審議を重ねワクチンの有効性と安全性を改めて評価。令和3年11月12日、専門家の評価により差し控えの終了が妥当と判断。令和4年4月1日、対象者への個別勧奨を再開し、接種機会を逃した人への3年間のキャッチアップ接種を開始。令和7年4月1日、キャッチアップ接種期間中に1回以上接種した人が公費で完了できるよう1年間の経過措置を実施。

平成25年4月から定期接種になりましたが、重篤な副作用の報告が相次ぎそれがセンセーショナルに報道されたことなどを受け、わずか2ヶ月で積極的な接種の勧奨が差し控えられるようになりました。そしてそれは、検証などのために9年間続きます。この間定期接種ではありつづけましたが、個別の案内などがされなかったため、接種の機会を逃した人が多くいました。

そのため、積極的な接種の勧奨が再開したR4年4月から時限的にキャッチアップ接種(接種機会を逃していたH9年度〜H20年度生まれの女性に対する無料のHPVワクチン接種)の機会が設けられました。

※積極的な接種の勧奨:定期接種の対象者に対し、個別の案内などを通じて接種を積極的に呼びかけること。

どれだけの人がワクチン接種している?

では、実際に鳥羽市ではどのくらいの人がHPVワクチンを接種しているのか。1回目を接種した人を“接種意向がある”とみなして算定してもらいました。

令和3年度は接種者22人で接種率7.4%、令和4年度は20人7.5%、令和5年度は17人7.2%、令和6年度は35人16.2%、令和7年度は12人5.8%という結果でした。

また、長く積極的な勧奨が差し控えられていたために接種機会を逃した方を対象に行われたキャッチアップ接種では、開始された令和4年度が29人4.7%、令和5年度が30人4.6%でした。最終年度の令和6年度は135人19.5%となっています。

ただ、HPVワクチンは間隔をあけて2〜3回接種する必要があるため、単年度の接種率だけでは実際の接種状況がつかみにくいんですね。そこで、より実態に近い数字を知るために、“出生年度ごとに各年度の接種者数を合計し、最初の対象者数で割る”という方法で近似値を計算してみました。積極的勧奨が再開されたあとに定期接種の対象となった世代(平成17年度〜平成20年度生まれ)では、35〜49%の人が少なくとも1回ワクチンを接種しているという結果になりました。

つまり、本市で無料で受けられるはずのがん予防ワクチンを、半分以下の人しか接種していないということが分かったのです。

※転出入の補正をしていない近似値で、個人を追跡したものではありません。

なぜ接種率は伸びない?

接種が進まない背景についても確認しました。令和6年度に厚生労働省が行ったHPVワクチンに関する調査では、接種意向についてアンケートをとっています。

“接種意思あり”と答えたのは本人25.4%(保護者29.3%)、“接種意思なし”が本人31.0%(保護者35.6%)、“わからない”が本人43.7%(保護者35.1%)という結果でした。“あり”が一番低く、多くの人がまだ決めきれていない、もしくは消極的だという状況です。さらに“接種意思なし”と答えた人の理由をみると、本人・保護者ともに“十分な情報がない”が最多(本人29.8%・保護者45.0%)でした。続いて“HPVワクチンは安全でない”(本人23.0%・保護者41.3%)、“友人・知人も未接種”(本人15.7%・保護者15.6%)の順でした。


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9:27

ALTテキスト作成のため画像内容を構造的に分析。
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HPVワクチン積極的勧奨の差し控えと再開の経緯を示すタイムライン図。平成25年4月1日、小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期接種を開始。その後、副反応に関するセンセーショナルな報道が相次ぎ不安が広がり接種率が大きく低下。平成25年6月14日、副反応報告の増加を受け国が積極的勧奨を一時差し控え。この差し控え期間は約9年間(平成25年6月14日〜令和3年11月12日)続き、その間専門家による調査・審議を重ねワクチンの有効性と安全性を改めて評価。令和3年11月12日、専門家の評価により差し控えの終了が妥当と判断。令和4年4月1日、対象者への個別勧奨を再開し、接種機会を逃した人への3年間のキャッチアップ接種を開始。令和7年4月1日、キャッチアップ接種期間中に1回以上接種した人が公費で完了できるよう1年間の経過措置を実施。
少し短縮したバージョンも必要であれば作りますが、ブログに貼る際は上記のように経緯の流れが分かる程度の長さがあった方が、画像を見られない方にも内容が伝わりやすいと思います。用途に応じて調整できます。

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これもよろしく

9:34
令和6年度厚生労働省「HPVワクチンに関する調査結果」を示す図。調査対象は女子中高生本人およびその保護者で、HPVワクチンの接種意向と接種意向がない理由などを調査。

1つ目のグラフ「接種意向の割合」では、本人(女子中高生)は接種意思あり25.4%、接種意思なし31.0%、わからない43.7%。保護者は接種意思あり29.3%、接種意思なし35.6%、わからない35.1%。

2つ目のグラフ「接種意思なしの理由」(上位3項目、複数回答)では、「十分な情報がない」が本人29.8%・保護者45.0%、「HPVワクチンは安全でない」が本人23.0%・保護者41.3%、「友人・知人も未接種」が本人15.7%・保護者15.6%。

出典:令和6年度HPVワクチンに関する調査(厚生労働省)。

当時のセンセーショナルな(副反応に関する)報道のイメージが今も残っていて、お子さんの接種をどうするか迷っているという声も、実際に私のもとに届いています。

情報が十分に届いていないことや、過去の報道の影響が、接種率が伸びない要因になっていると感じます。

相談にはどのように対応している?

市役所や学校ではHPVワクチンについての相談を受けたときにどのように対応しているのかも聞きました。積極的勧奨が再開された令和4年度以降、「どのくらいの人が接種しているか」といった状況に関する質問などがあったそうです。

通知を受け取った家庭からの副反応についての問い合わせもあり、その都度保健師が厚生労働省のリーフレットなどを使って説明しているとのことです。

学校現場では、HPVワクチンの目的や効果といった基本的な内容は説明できるようにしているけれど、接種の可否など専門的な判断が必要なことについては「かかりつけ医、または接種を行う医療機関に相談してください」と案内しているそうです。

また、保健センターから啓発資料の配布を学校に依頼した場合は、内容を確認した上で配布してもらえることも確認できました。

調査結果にあった“友人・知人も未接種”という理由を見ても分かるように、まわりの接種状況は本人や保護者の判断に影響します。“みんな受けている”と感じられる状況をどうつくっていくかが、これからの課題だと思います。

これまでの啓発と今後の啓発

啓発の取り組みについても確認しました。令和3年11月、厚生労働省健康局長から積極的勧奨の再開を求める通知が出されました。その理由は「ワクチンの安全性について特段の懸念は認められず、有効性が副反応のリスクを明らかに上回る」というものでした。本市でも令和4年度から対象者への個別案内を始めています。

案内を送る際には、厚生労働省のリーフレットや健康福祉課で作成した資料を使い、接種できる年齢が限られていることや副反応についても伝えるようにしているとのことです。期限が近づいている人には再度通知を行い、接種機会を活用してもらえるよう努めているそうです。個別通知のほかにも、市のホームページや広報紙での周知を毎年続けています。

最近はHPVワクチンに関するテレビCMなどを見たことがある方もいるのではないでしょうか。鳥羽市では、国や研究機関による啓発も強化されていることを踏まえ、個別の接種勧奨や問い合わせへの対応、広報紙などを活用した周知を、これまでと同様に続けていきたいという答弁でした。

定期接種の対象者以外に対しての接種の助成

ここからが、今回の一般質問で一番伝えたかった部分です。

まず、定期接種の期間を過ぎてしまった女性についてです。県内では大紀町が独自に、高校2年生相当から大学1年生相当の女性を対象に接種費用の助成を行っています。(大学1年生相当の人は、高校3年生相当までに1回以上接種していることが条件)

小学6年生から高校1年生という年齢で、自分でワクチンを受けるかどうかを判断するのは簡単なことではなく、保護者が決めている場合がほとんどだと思います。高校1年生を過ぎたころからこそ、自分の意思で接種を選べるようになるはずで、大紀町の制度の考え方には説得力があると感じました。本市では、こうした独自支援の検討はこれまで行っていないとのことです。

次に、男性への接種についてです。令和7年8月、9価HPVワクチンは肛門がん(男女)や尖圭コンジローマ(男性)の予防についても薬事承認され、男性が接種する効果も認められています。ただ、男性の接種は定期接種に位置づけられていないため、医療機関によって異なりますが1回あたり3万円程度の自費負担になります。HPVは主に性交渉によって感染するので、男性が接種することは、社会全体としてHPV感染や子宮頸がんを防ぐことにもつながります。

県内では桑名市、松阪市、熊野市の3市が男性への接種助成を実施しています。桑名市は令和6年度8月から全額(3回まで)、松阪市は今年度から上限2万円(3回まで)、熊野市は今年度から接種費用の2分の1(4価8,500円・9価15,000円を上限に、3回まで)の助成を行っているそうです。

三重県内自治体による男性へのHPVワクチン接種助成内容を示す表。桑名市は全額助成、上限額なし、3回まで。松阪市は予防接種費用または20,000円の低い方を助成、上限額20,000円、3回まで。熊野市は接種費用の1/2の額を助成(ワクチンの種類により上限額を設定、4価は8,500円・9価は15,000円)、3回まで。出典:鳥羽市健康福祉課健康係による聞き取りにより作成。

本市では男性への助成についてもこれまで検討してきていないとのことでした。ただ、国で定期接種化の検討が始まっていることや、先行して助成を行う自治体が出てきていることから注視しているとの答弁でした。

ちなみに、HPVワクチンの接種が進んだ国の例としてオーストラリアの例が有名です。2007年に女子への定期接種を開始し、2013年からは男女ともに対象にするなど積極的に取り組みました。その結果、接種率は80〜90%程度に達し、子宮頸がんの罹患率も大きく下がっています。2028年には子宮頸がんを事実上撲滅できるという予測も出ているそうです。

市長の考えは?

最後に、市長に直接お聞きしました。男性への接種費用の補助、そして定期接種を終えた人への補助を行う気はありますか、という質問です。

今回提案した男性への接種費用助成や、定期接種期間が終了した方への独自支援については、将来的な疾患の予防という観点から意義深い提言だと感じている、としつつも、特に男性へのHPVワクチン接種については、国でも定期接種化に向けた議論が進められているので、今後の国の動向を注視していきたいとのことでした。

一方で、本市は多くの人がまだ接種していないという現状があります。市長は、優先すべき課題は接種率のさらなる向上だとして、そこに重点的に取り組みたいという考えを示しました。

まとめ

今回提案した、HPVワクチンの定期接種対象者以外への補助は、早期の実現は難しそうです。しかし、接種率を向上するための啓発は引き続き行なわれる予定だということなので、実際に学校での資料の配布などが取り組まれているかを今後も注視しながら、私自身も啓発に努めていきたいと思います。

ぜひ、質問やご感想をこちらから送ってくださいね。

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