8月5日6日と2日間にわたって開かれた全国若手議員の会の研修では、リーダーシップとは何か、について考える講演とワークショップがありました。講師は、政策支援、人材育成、組織づくりなどの事業を行う青山社中の朝比奈一郎氏です。市議会議員として、また地域に関わる一人として、日々「リーダーシップ」という言葉を耳にしますが、改めてその本質を問い直す機会になったので、学んだことを整理してみたいと思います。
マネジメントとリーダーシップは別物
研修でまず印象に残ったのが、この言葉の整理です。
Management is doing things right.
Leadership is doing the right things.
マネジメントは「物事を円滑に進める力」、リーダーシップは「正しいと思うことをする力」。似ているようで、実は方向性がまったく違うものです。日本社会では指導的な立場にある人にマネジメント力が強く求められますが、実のところ日本人は一人一人が周囲を見て物事を円滑に進められるように進んで動くように教育を受けているので、マネジメントはそこまで重要ではなく、自分が!自分が!となりがちなアメリカなどでは、マネジメントが必要でしょうね、というようなことも朝比奈氏はおっしゃっていました。
「志」が起点になる
リーダーシップには3つの段階があるという話がありました。
lead the self(自分を導く)
lead the people(人を導く)
lead the society(社会を導く)
まず自分自身を律し、次に周りの人を動かし、最終的には社会そのものを変えていく。自分自身を律することから社会を変えることまで、必要なことはなんなのか、それは「志」です。
歴史上のリーダーたちの共通点として挙げられていたのが「志」でした。キング牧師やガンジーの例が紹介され、大きな変革の背景には必ず強い想いがあったこと。そして明治維新のような「変える」「壊す」という大きな転換にも、時代を動かす志を持った人たちの存在があったという話を自分自身の志とは?と問いながら聞きました。
一方で、「志を持っていても、それを実現する構想(画)を描けなければ意味がない」という指摘もありました。構想力=大局観。目の前のことだけでなく、全体を俯瞰しながら物事を進めていく力の重要性を学びました。最近、俯瞰する力や視野を広げる、自分以外の価値観で物事を見ることについて考えているので、リンクする感覚がありました。
「無理なこと」を「当たり前」にする
これらのことを説明する実例として紹介されたのが、サッカーチームの鹿嶋アントラーズです。プロリーグもまだ存在しなかった人口5万人の街に、当時世界的なスター選手だったジーコを呼んだという話。ポイントは「引っ張る」のではなく「やってしまう」という姿勢です。
無理だと思われていたこと、当たり前ではなかったことを、行動によって当たり前にしていく。地域を想う市民・企業や法人・行政、それぞれの立場でこうした一歩を積み重ねていくことが、地域を変えていく力になるのだと感じました。
リーダーシップをどう発揮するのか
新しい「当たり前」の作り方には、きっと色々なやり方があると思います。グループワークでは「統治機構のあり方についての提言」または「個別政策について議員としてできること」をテーマに、そのトピックに関する「あるべき姿」について意見を出し合った後に、それを「実現するための行動」についても話し合いました。
私のグループでは「道州制の導入が必要ではないか」「令和の大合併」「首相公選制を試してもいいのでは?」などの意見が出ました。さらに議員インターンシップに参加中の学生さんから出た「各自治体が地域にあるもののブランド化を進めて、自治体だけで成り立っていくような状態にするのが理想ではないか」という意見には、多くの参加者が共感しました。自治体議員は誰しも、実際に予算の審査をする中で、いかに国や県の方針に沿った自治体運営が求められているかを感じているのだと思います。
では、その状態にするための行動は?令和の大合併に関しては、「過去に学ぶ」という意見が出ました。朝比奈氏も明治維新について「明治維新は英語ではMeiji Restorationと訳す」と説明していました。Restorationは直訳すれば、修復や元に戻すことです。つまり新しい統治の形を作るのではなく、これまで日本はずっと天皇によって統べられてきたので、幕府をなくして再び天皇を中心とした政治を行う、と説明したわけです。みんなが「確かに」「そうだそうだ」と思えるナラティブ、新しい「当たり前」が変革には必要なのです。例えば「時代を遡ればみんな〇〇群だったのだから元に戻すんですよ」というストーリーが、みんなの共感を呼ぶ形で語られれば「令和の大合併」も実現可能なのではないか、などと話しました。
13人いる市議会議員としてのリーダーシップ
鳥羽市議会議員は13人います。市長がリーダーシップが必要といえば誰もが当然だと思いますが、複数人いる議員にリーダーシップが必要なのか?と言われると意見はまちまちだと思います。しかし、リーダーシップが「正しいと思うことをする力」であり、「新たな当たり前を作る力」であり、「現状変更するためにいつも小さなことでもする力」であるなら、市議会議員にもリーダーシップがあった方がいいでしょう。
「私はいまリーダーシップを発揮できているか?」と問いながら議員としての活動をしていきたいと思います。